日本人は頭蓋・顔面骨が欧米人のように長くないため上顎洞が近くなっています。
そのため上顎の6番(6歳臼歯)の歯根の先端(歯根尖)は上顎洞すれすれか上顎洞内に入っているかのように見えることが少なくありません。このような上顎の臼歯(奥歯)をむし歯や歯周病などで失ってしまうと、口腔内に残っている歯を支えていた骨(歯槽突起あるいは歯槽骨)の厚みは僅かですぐ直上の上顎洞までの骨量は少なくなります。
つまり、インプラントを入れる骨の量(骨の高さ)が不足していることが大半です。
抜歯した後の残存骨量が1~5mmしかないことも少なくありません。
通常、インプラントの長さは約8~10mm前後のものを使用します。そのため、既存骨の高さが10mm以上ある場合は、骨造成を行う必要はなく、そのままインプラントを埋入することが可能です。しかしながら、既存骨量が8mmに満たない場合は、上顎洞の底部にある粘膜(上顎洞底粘膜:シュナイダー膜ともいう)を挙上しスペースを作り、そこに骨造成をすることで骨の高さを増やす処置、すなわち上顎洞底挙上術が必要となるのです。