インプラントの費用について

インプラント治療に掛かる費用の実態

インプラントは重度の外傷や先天性の病気以外は自由診療

インプラント義歯治療

インプラント治療は通常保険が適用されないのが一般的であり、歯科医院がそれぞれで費用を決める「自由診療」での治療です。
インプラントによる治療は失った歯の代わりに、人工の歯根や歯冠などを使ってご自身の歯に近い機能を回復させるための、質の高い治療法です。そのために保険適応外となります。
ただし、2012年4月より、国が定めた病気や外傷などにより広範囲に顎の骨を喪失してしまった場合に限って、『インプラント義歯治療』として保険適用がされるようになりました。保険適用となったインプラント義歯治療とは、顎の骨にインプラントを埋め込んで土台を作り、その上に義歯を装着させる治療法です。

保険適応と自由診療の条件

自由診療

  • 虫歯や歯周病、外傷での歯の喪失
  • 歯周病や加齢によって、顎の骨が痩せてきてしまったことによる歯の喪失

保険診療

  • 腫瘍や顎骨髄炎(がくこつずいえん)による病気
  • 事故の外傷による広範囲にわたる顎の骨の喪失
  • 生まれつきの病気で、顎の骨が1/3以上連続して欠損してしまっている状態
  • 顎の骨が形成不全の状態

上記で示した通り、インプラントに保険が適用される条件は、「入れ歯」や「ブリッジ」による治療で回復が見込めないことに加え、事故や生まれつきの病気などでやむを得ない場合に限ります。つまり、ほとんどの方は、インプラントで保険が適用されることはありません。

“歯1本あたり”埋め込むのにかかる費用はおよそ『30~40万円』

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保険適用外のインプラントを埋め込む手術に支払う費用の平均は、“歯1本あたり”およそ『30~40万円』だとされています。この相場は、都市部と地方で違いがありますが、あくまでも設備の整った歯科医院でインプラント埋め込み手術を受けることが前提での費用です。

『30万円~』の費用は妥当なのか?ブリッジ治療との比較

ブリッジ治療との比較

歯を失ってしまった場合の治療法の中でインプラントとよく比較される治療法は、「ブリッジ」があります。ブリッジとは失ってしまった歯の両隣の健康な歯を削り3本分の人工の歯を被せることで、抜け落ちた歯を文字通り“ブリッジ”させる治療法です。両隣の歯は橋げたの役割を果たす必要があるため、健康で丈夫な歯であることが重要です。費用は保険適用で『2~3万円』程度かかります。
ブリッジは周囲の健康な歯を削るだけでなく、場合によっては神経を抜く場合もあります。また削って橋げたにした歯に過度な負担がかかってしまい、虫歯や歯周病になる可能性もあります。それに対してインプラントは、健康な歯を削ることなく失った歯の部分だけを修復できるという大きなメリットがあります。

また、ブリッジは使用する素材によっては保険適用外となり、金額は10倍の『20~30万円』程度の費用になります。このことを踏まえると、保険適用外のインプラントの埋め込み手術の費用が1本あたり平均『30万円~』であったとしても、妥当な金額であるといえます。

インプラント治療に対する考え方はそれぞれ相違があると思います。ただ、健康な食生活を営む上で大切な歯の治療です。失った歯の機能を回復させるために行うインプラント治療は、より自然に元々あったご自身の歯に近い状態で機能させることができます。それゆえ、ある程度の費用はどうしても必要となってくるのです。

地域によっても違う!都心部の平均手術費用は『39万円』

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インプラントの埋め込み手術に掛かる費用は、地域によってもその平均金額が異なってきます。東京都心部では、インプラント埋め込み手術に掛かる費用の平均が『39万円』といわれています。この費用の差は単に都心部のテナント料が高いことが原因で、治療費にこの分を上乗せしていることから平均費用が高くなっています。
ということは、都心で費用が高いからといって特別なインプラント手術がされているというわけではないということです。ただ地方に比べ、歯科医院数に差があるためインプラント治療に精通した歯科医院を選択できるというメリットがあるのは事実です。下記は地域別にみたインプラント埋め込み手術の平均金額です。

地域 平均費用
北海道地方 32万円
東北地方 34万円
北陸・甲信越地方 33万円
関東地方 37万円
中部・近畿地方 37万円
中国・四国・九州地方 35万円

“歯1本10万円”は不可能!格安インプラントに潜む欠点

インプラント

インプラントが一般的になってきた近年ではインプラント治療を破格の値段で行う歯科医院が増えてきています。しかも、インプラント埋め込み手術費用が歯1本につき『10万円』という安さだけをアピールし、十分なインプラント治療を提供していない歯科医院もあることが問題になっています。

結論からいうと、最適なインプラント治療を受ける場合、治療の前に行う検査や使用する素材、治療後のメンテナンスなど考慮すると、歯1本あたり『10万円』という金額は採算が取れない金額です。なぜなら、人工の歯のもとになる素材だけで『10万円』の原価がかかるためです。

歯科医院側も、最善の医療を提供することはもちろんですが、ビジネスとして医療技術を提供しているため、どれだけのコストがかかり、どのくらいのスキルが必要なのかといったことを考慮しながら治療費を決定しています。したがって、あまりに安い治療費をアピールしている歯科医院は、何か欠点やコストを下げている要因があるのではないのかと疑ってみることが必要です。

患者さまにとってインプラントの治療費が安いことはたしかに魅力的であり選択する際の決定要因の1つになることは当然ですが、単に安いからといって安易にそこの歯科医院でインプラント治療を受けるのは良い選択とはいえません。歯科医院に対する事前の調査とその医師の技術や設備、治療内容を詳しくおしえてくれる歯科医院を選ぶことが大切です。

格安インプラントに潜む欠点の主な例

インプラント治療に使う素材が不良品

インプラント治療を行うための素材が不良品で、埋め込んだ顎の骨から数ヶ月で抜け落ちてしまったという事例も残念ながら少なからず存在しています。こうした不良品は耐久性に乏しく、治療に適したものでなと歯科医師も理解しているにも関わらず使われているようです。格安だけをウリにしたインプラント治療においては、こうした不良品の素材が使われるリスクがあります。

設備がきちんと整っていない

治療費を格安に提供している歯科医院では、院内にきちんとしたインプラントのための設備が整備されていない可能性があります。インプラントを埋め込む際、チリや埃などは治療において大敵です。こうした浮遊物をインプラントと一緒に埋め込んでしまうことで、顎の骨とインプラントがしっかりと結合しないというリスクが生まれるためです。

また、コンピューターで断層撮影を行うためのCTを完備していない歯科医院も存在しています。インプラントにおいてCTでの撮影は必須といえるため、わざわざ別の歯科医院でCTの撮影だけ行かざるを得ない可能性もでてきます。またそもそもCT撮影をすることなくインプラント手術をする歯科医院もあります。

治療期間が短縮され、スキルが乏しく経験も浅い医師が担当している

格安の治療費だったとしても、治療期間を短くして回転率をあげることで、インプラントの件数が増えるため歯科医院側にとって得られる治療費の総額は増えます。しかし、こうした医療現場での『薄利多売』は、患者さんにとって最適な医療技術を受けられる補償は低くなることが一般的です。

丁寧なカウンセリングを受け、審美性や耐久性にも優れたインプラント治療を望むなら、格安をウリにして、“スピード勝負”に徹した医院ではなく、ご自身の要望や疑問点を聞いてくれた上で提案してくれる歯科医院でインプラント治療を受けるべきであるといえます。

治療後の保証制度とメンテナンスに問題がある

万が一インプラント治療後にインプラントが抜け落ちたりするなどのトラブルが起きた場合にしっかりとした保証制度があるかどうかもインプラントを受ける際の判断基準の一つとなります。しかし、こうした保証制度を設けているにも関わらず、保証の加入に関しては無料でありながら、治療後すぐに不備が発覚した場合の負担金を経年ごとに増やしていくようなやり方も存在します。格安で提供している医院がよく行う手法の一つです。

そもそも原材料が安いインプラント体を使用している

インプラントの材料としても安い物を使われることもあり、保証がない、早期に悪くなることも多くあります。

インプラント治療に掛かる費用の内訳

費用の内訳についてきちんと知っておく

適正かつ質の高いインプラント治療を受けるためには、治療に掛かる費用の内訳も事前に把握していることが望ましいといえます。

インプラント治療にかかる費用のおおよその内訳を下記の表です。

治療内容 費用
治療前の精密検査と診断料 1万5千円~5万円
上部構造(被せ物) 10万円~15万円
インプラントを埋め込む手術代 10万円~38万円ほど
治療後のメンテナンス 5千円~1万円

治療に使われる被せ物の費用について

まだまだ、知られていない、インプラントの可能性

インプラント治療に掛かる費用の内訳は、治療に使われる素材の値段や歯科医師の技術によっても違いが生まれます。例えば、使用する素材(被せ物)が「ジルコニアセラミッククラウン」である場合、最高で『20万円』の追加費用が発生する場合もあります。 「ジルコニアセラミッククラウン」とは、人工のダイヤモンドを使用した被せ物で、変色や割れる可能性も低く、自分の本当の歯のような自然な色とツヤを再現できる、高性能の被せ物です。ただ、治療費が高額であるため、自分の口腔内の状態を見極めながら、歯科医師と相談して最適な治療法を決めることが重要になります。

被せ物の種類 主な特徴 費用
ジルコニアセラミッククラウン 変色や割れる可能性も低く、自然な歯の色とツヤを再現できる 歯1本あたり『9~20万円』
オールセラミッククラウン セラミックのため割れる可能性は高いが、自然な歯の色とツヤを最も再現できる 歯1本あたり『7~17万円』
ハイブリッドセラミッククラウン 年月が経つにつれツヤは劣化してしまうが、オールセラミックよりも柔らかく、費用も一番安く抑えられる 歯1本あたり『4~12万円』
メタルボンド 金属のため強度があるが、色や透明感はオールセラミックよりも劣る 歯1本あたり『5~15万円』
ゴールドクラウン 硬さは本来の歯と同じ硬さで馴染みやすいが、審美性に欠ける 歯1本あたり『4~15万円』
オーバーデンチャー(インプラント義歯) 顎の骨にインプラントを埋め込み、プラスチックでできた取り外し可能な総入れ歯をはめ込むやり方 『20~35万円』(「総入れ歯」と「入れ歯」を固定させる部品を含めた費用)

インプラント治療に掛かる費用の負担を少しでも和らげる方法

医療費控除を申告する

インプラント治療は『医療費控除』の対象となります。医療費控除とは、一年間(1/1~12/31)で生計を共にしている親族の医療費が10万円を超えた場合に、税務署に申告することで一定の還付金の受給や、住民税を減らすことができる制度です。

医療費控除は納税額から還付されるので、所得税や住民税を納めていることが基本条件です。医療費控除の対象額は、『実際に医療機関に支払った医療費の合計』-『保険金などで補填される金額』-『10万円(一年の総所得が200万円未満の場合は“総所得金額×5%”)』によって計算されます。

“分割払い”ができる「デンタルローン」を活用する!

平均的なインプラント埋め込み手術費用が『30万円~』のインプラント治療は、なかなか一括で払える金額とは言えません。そんなときに活用できるのが「デンタルローン」です。

デンタルローンとは、歯科治療の費用を患者さんに代わって信販会社が立て替えを行い、患者さんは信販会社に対して、治療費に手数料をプラスした金額を分割で支払っていく分割払いの制度です。

所在地
岐阜県多治見市住吉町7丁目28-1
診療時間
9:00~13:00 / 14:00~18:00 土祝は13:00まで
休診日
木曜・日曜
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