一般的に歯質(歯をかたち作る材質)や歯並びは遺伝すると言われています。歯質が弱ければ、むし歯菌に感染してしまった時により症状が出やすいですし、歯並びが悪いと磨き残しも増えてしまい、結果としてむし歯になりやすくなると言えます。しかしながらむし歯菌として知られている「ストレプトコッカス・ミュータンス菌」は、生まれたての赤ちゃんの体内には存在しません。他人の唾液などがついた食器やキスを通じて感染すると知られており、感染しなければ歯質が弱くてもむし歯にはならないと言えます。つまり、歯質が弱い・歯並びが悪いという遺伝的な要因は少なからずあるものの、むし歯菌に感染する機会が多く、むし歯によくなる習慣の人と似た生活をしているといった環境的な要因も大きいということです。特に両親がよくむし歯になるという家庭だと、その子どもも両親と似た食生活・習慣になる可能性が高いので、見かけ上はまるでむし歯にかかりやすい体質が遺伝しているように見えるのです。