「水素吸入療法」がほかの抗酸化療法と大きくちがうのは、選択的に有害な活性酸素だけを取り除くことができるという点です。一般によく知られるビタミンCやグルタチオンなどの抗酸化物質は、活性酸素の種類を区別して取り除くことができません。
ここで、活性酸素には2つの種類があります。まず1つ目は、私たちの身体を細菌やウイルスから守ったり、血管をひろげて血圧を上がりにくく保ったりする善玉活性酸素(スーパーオキシド、過酸化水素、一酸化窒素)。そして2つ目は、細胞や遺伝子に障害を与えることで多くの病気や老化などを引き起こす、悪玉活性酸素(ヒドロキシラジカル)です。
この2つのうち、「水素吸入療法」で悪玉活性酸素だけを選んで取り除くことができる理由は、水素分子の還元力が穏やかでよわいから。その力は、ビタミンCやグルタチオンに比べると1%にも及びません。これが功を奏し、身体にとって必要なシグナル伝達や免疫システムを担う善玉活性酸素まで除去してしまうことを防げるという訳です。 また、水素分子は極めてちいさいサイズで、細胞のなかにあるミトコンドリアや遺伝情報を保存する核の内部まですばやく入り込みます。さらには、電子的な偏りがないうえに水と脂の両方になじむ性質をもつため、血流の滞った部位や脳でも入っていくことが可能です。